シェーグレン症候群、全身性エリテマトーデス、線維筋痛症などなど。
どこかで見たり聞いたりする病気ではないでしょうか?
もしかしたら関節リウマチを患っている患者さんも、一度は調べたり、主治医から聞いたりしているかもしれませんね。
シェーグレン症候群、全身性エリテマトーデス、こちらの病気は、『膠原病』『自己免疫疾患』と呼ばれるものになります。
対して、線維筋痛症は、特徴のある慢性的な痛みが3ヶ月以上続いている状態から、『痛覚変調性疼痛』に分類されています。関節リウマチによる痛みと似て異なるものになります。
これらの似ているようで似ていない病気、実は同時に発症することも珍しくありません。
ですが、一つでも日常生活に支障が出ることもある病気です。複数にかかった患者さんの苦痛は想像を絶するものだと思います。
その中には、『関節リウマチ』『シェーグレン症候群』『線維筋痛症』など複数の病を同時に抱えながらも、社会で働く女性がいます。
彼女の名前は、キャリー・アン・イナバさん。
日本人・中国人・アイルランド人の血を引いている彼女は、ハワイ・ホノルル出身。
ダンサー、振付師、歌手、女優、トークショーの司会者など様々な一面を持って活躍されています。
日本語が堪能で、1980年代、日本に滞在されていたこともあります。そしてなんと、歌手デビューも果たされていますよ!
1990年代では、マドンナやリッキー・マーティンのバックダンサーとしても活躍されたこともある実力派ダンサーです。
そんな彼女が最初に患った病気は、2013年。キャリーさんが45歳の時です。
その頃は、キャリーさんにとって大きな変動がある年でした。
最愛の父が突然帰らぬ人となり、飼っていた愛犬が彼女の腕の中で息途絶え、さらには婚約者とも別れを告げることになり…。
そんな悲劇と多大なストレスがキャリーさんの健康に影響を与えたことは、想像に難くありません。
コンタクトレンズを入れていると目に痛みが出るほどのドライアイ、食事が食べにくくなるほどの口の乾き、それが最初の彼女の訴えでした。
のちにシェーグレン症候群であると診断を受けたキャリーさんは、その後すぐ、全身の関節痛や腫れに苦しみ、関節リウマチと線維筋痛症を合併していると判明したのだそうです。
「私の人生の中でとても困難な時間でした。」
「けれど、診断が下りた時、とてつもない安堵を感じました。ようやく私の身体の中で何が起こっているのか分かったからです。」
“It was a very difficult time in my life. And yet, when I got the diagnosis, I felt immense relief,” said Inaba, who is very proactive in her self-care. “Finally, I understood what was going on with my body.”
Future of Personal Healthより
キャリーさんは、右肩がよく痛むことが多かったようです。それに伴い、右腕が痛み、指先が痺れることもあったそうです。時には、歩くことが困難なことも。
「時々、首と肩の痛みがひどくなり、まるで鋼鉄のロープが食い込んできて、500ポンドの重りに取り付けられているように感じることがあります。とても冷たいような、ズキズキと深く痛む、慢性的な痛みです。」
*500ポンド=約220キロ
“Sometimes the pain in my neck and shoulder get so bad that it feels like a steel metal rope is digging in, and it’s attached to a 500 pound weight,” she says. “It’s a cold, heavy chronic pain that just throbs and aches deeply. And then there are sharp acute pains in the base of my skull and neck.”
Future of Personal Healthより
それは、彼女のキャリアにも大きく影響しました。
長年務めていた情報テレビ番組・The Talkの司会を断念せざるを得なかったそうです。
*The Talk:2010年からCBSで始まったアメリカの情報番組。キャリーさんは当初から司会に携わっていた。
けれど、それはキャリーさんの新しい挑戦の始まりでもありました。
テレビ番組の司会を退いたあと、キャリーさんはHPを作成。
そして、自己免疫疾患で悩む人たちのために、このように発信したのです。
「自己免疫疾患に立ち向かうことは、時には非常に孤独を感じることもあります」
“Coping with autoimmune conditions can sometimes feel quite lonely,” she said.
「私が最初に診断を受けたとき、私の葛藤を自分の中に秘めておくよう勧める人もいました。けれど、沈黙し続けるよりも、私自身の現実に誠実に向き合う方が良いということに気付いたんです。私は、自分のこれまでの道のり、解決策などを共有し、それが誰かの役に立つことを強く信じています。そうしてコミュニティが生まれるのだと思います。」
“When I first got diagnosed, some encouraged me to keep my struggles to myself, but I’ve found that it’s always been better to be honest about my needs and realities than to stay silent. I believe strongly in sharing my journey, my solutions, and the things that have helped me with anyone who could use it — this is how communities are formed.”
Peopleより
複数の自己免疫疾患をキャリーさん、それでもSNSを通じて、誰かの役に立ちたいと思う気持ちはとても素敵ですね!応援したい気持ちや勇気も貰えます!