関節が腫れて痛むけど、血液検査では異常がないと言われました。
痛み止め(の薬)を飲んだらマシにはなるけれど、すぐに腫れてしまうんです。
こんな経験はありませんか?
関節リウマチの診断で重要となる、RF(リウマトイドファクター/リウマトイド因子)と抗CCP抗体。
こちらの2つは、血液検査で調べることができます。
じゃあ、RFも抗CCP抗体も陰性なら、関節リウマチじゃないの?
答えは、YESでもあり、NOでもあります。
RFも抗CCP抗体も陰性で、関節リウマチではないのに、関節の痛みが出てくる疾患は他にもあります。
ですが、RFも抗CCP抗体も陰性でも、関節リウマチの診断とする場合もあります。
そこで今回は、血液検査が陰性の関節リウマチ、そしてリウマチ性多発筋痛症についてご説明します!
血液検査が陰性の疾患は他にもあるのですが、今回は当院でよく見られるこの2つの疾患についてお話ししますよー!
【その1. 血清反応陰性関節リウマチ】
一つ目は、血清反応陰性関節リウマチです。
名前の通り、血液検査では、RFも抗CCP抗体も、炎症を示すCRPも正常範囲ないもしくは陰性と判断される関節リウマチ、となります。
CRPとは…C反応性蛋白の略。肝臓で作られている蛋白質で、炎症を示すもの。炎症が起きるとその場所の細胞が壊れ、たんぱく質の分解産物であるCRP(C反応性蛋白)が血液中に増え、血液検査で異常値が現れる。
症状は、関節リウマチと同じです。
起きた時の手のこわばり、手の第2関節の痛みや腫れなど、起きやすい場所もほとんど変わりありません。
血液検査では異常が見られないため、関節リウマチではない、と説明を受ける方も珍しくありません。
そこで重要になってくるのは、超音波検査です。
関節の痛みや腫れが、炎症によるものなのかを判定します。
治療方法は、関節リウマチと一緒です。
第一選択として、メトトレキサート(もしくはリウマトレックス)から開始されることが多くあります。
【その2. リウマチ性多発筋痛症】
そして、もう一つは、リウマチ性多発筋痛症です。
こちらも、血液検査では、RFも抗CCP抗体も陰性と出ることが多くあります。
関節の症状も出るのですが、同時に、全身の症状、そして、筋肉の症状が出てくることが特徴的です。
- 全身の症状:38℃台の発熱(80%)、食欲不振(60%)、体重減少(50%)、全身倦怠感(30%)、抑うつ症状(30%)など
- 筋肉の症状:両側の肩(70-95%)、くび、臀部(50-70%)、腰部、大腿など
- 関節の症状:膝、肩、股関節などの大きな関節
さらに特徴的なことは、50歳以上の中高年に発症が多い、という点です。
70〜80歳の高齢者の方に発症が多く見られるとされています。
また先ほどもお伝えしましたが、このリウマチ性多発筋痛症の関節症状は、手指や足趾などの小関節よりも肩や股関節などの大きな関節にみられます。
そして、関節の腫脹を訴えることが少ない、これも関節リウマチとの大きな違いです。
血液検査ではCRPの上昇など炎症反応があり、治療強化の判断になることもあります。
そんなリウマチ性多発筋痛症の治療方法は、関節リウマチと異なります。
第一選択薬は、ステロイド剤。
患者さんの症状に応じて、量を調節していきます。
いかがでしたか?
今回は血清反応陰性関節リウマチとリウマチ性多発筋痛症についてお話ししましたが、ほかにも血液検査が陰性で、関節炎を起こす疾患はまだまだあります。
もし症状にお困りのことがありましたら、かかりつけ医もしくはお近くの病院などにご相談くださいねー!