関節リウマチになりやすい人はいるが、
100%遺伝するわけではない
関節リウマチは遺伝するのかな?
ご家族に関節リウマチ患者さんがいる方や、お子さんをお持ちのリウマチ患者さんの中には、
「おばあちゃんやお母さんがリウマチだけど私も将来リウマチになってしまうのかな?」
「子供にリウマチが遺伝してしまうのかしら?」
と不安に思われる方もいらっしゃると思います。
必ず遺伝するわけではありませんが、発症しやすいかどうかは遺伝する可能性があります。
関節リウマチが発症する原因はまだ明らかになっていませんが、いくつかの「遺伝的要素」が重なり、さらにウイルス感染、ストレス、喫煙などの「環境による刺激」が加わることで発症すると考えられています。
発症しやすさの遺伝はありうる
関節リウマチの発症者が多発する家系があることや、一卵性双生児(遺伝子が100%一致している)の一方が関節リウマチであった場合に15-30%の確率でもう一方も関節リウマチを発症することから、遺伝的な要素が関与することが推測されています。
また、リウマチ患者さんの遺伝子を解析することで、いくつかのリウマチを発症しやすくする遺伝子(疾患感受性遺伝子)の存在が明らかになっています。
これらのことから考えると、関節リウマチを発症しやすいかどうかについては、遺伝する可能性があると思います。
ただし、はじめにお示ししたように、関節リウマチは遺伝だけではなく環境による刺激も関与して発症すると考えられており、遺伝的な要素があるからといって必ず関節リウマチを発症するということではありません。
血縁に関節リウマチを発症した方がいらっしゃる場合は、関節の痛みが出たら早めに病院を受診して頂くことで、関節リウマチの早期診断・早期治療につながります。
早期治療を行うことで、症状の進行を遅らせたり、関節の痛みや骨の破壊がない状態を実現できる可能性も高くなります。
発症の予防はできるのか?
遺伝的な要素を持たれている方は、発症を予防する方法があるのか気になると思います。
口腔ケアと禁煙は予防に重要
関節リウマチ発症の原因はまだ明らかにはなっていないこともあり、完全に予防する方法はありませんが、近年、歯周病と喫煙が関節リウマチの発症と関連することを示す研究結果が明らかになってきています。口腔ケアと禁煙は、健康管理においてのみでなく関節リウマチ発症を抑制するという点からも重要なのです。
遺伝的に関節リウマチを発症しやすい可能性があっても心配し過ぎず、特にリスクとなる喫煙は避け、関節の痛みがでた場合は早めに受診してください。
ご自身やご家族のことで不安な点がある場合は、気軽にご相談ください。
リウマチ治療相談Q&A
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