抗リウマチ薬の副作用
肺炎、肝炎、脱毛について

リウマチ治療質問集 シーズンズ東京リウマチクリニック

リウマチ患者に
特有な肺炎はありますか?

リウマチ薬や抗がん剤投与で免疫力の落ちた患者さんに特有の肺炎に、“カリニ肺炎(カビによる肺炎)”があります。

日本では海外より発生率がやや高く、亡くなられる危険もある特殊な肺炎です。

本院でも予防策を強化しており、現在は以前より激減しています。

カリニ肺炎(ニューモシスチス肺炎)の予防

東京リウマチクリニックでは、バイオ製剤投与中は原則として全員予防薬(バクトラミン・バクタ)を内服してもらっています。

通常バクトラミン1錠を週1回フォリアミン(葉酸)と一緒に内服してもらっています。

葉酸を併用しないと、MTX同様副作用が出やすいので注意してください。

また、リウマチ治療中の方は、肺炎・感染症の危険が大きいので、肺炎球菌ワクチン(ニューモバックス)を5年に1回受けてもらいます。(60歳以上推奨。60歳以下でも慢性肺疾患などリスクの高い患者さんには推奨。)

また、インフルエンザワクチンも毎年受けてください。

リウマチの薬を服用すると、
肝機能の数値が上がるのはなぜですか?

ほとんどの薬剤が、肝臓で代謝されるからです。

リウマチの患者さんなどで何種類ものお薬を飲んでいると、肝臓の数字(代表的なものGOT・GPT)があがってくることがよくあります。

ほとんどの薬剤が、肝臓で代謝されるからです。

肝臓は、はっきりいってすべての内臓の中で一番巨大な臓器なので、機能にずいぶん余裕があります。

これらの数字がしばらく50-100や100-200程度にあがったからといって、黄疸などの症状が出るわけでもありませんし、それほどあわてる必要はありません。

ほんとうの急性肝炎というものは、これらの数字が500-1000、さらに数千というレベルになるものです。

ですから、肝機能の数字の軽度上昇は「お薬の調節をしてください。」という、早めの警告だと考えてください。

東京リウマチクリニックで使われるお薬で、肝機能値上昇のもっとも原因になりやすい、お薬を順番にいいますね。

1 結核の予防薬 イスコチン

2 リウマチ薬 MTX(メトトレキサート・リウマトレックス)

3 肺炎の予防薬 バクトラミン

4 ビブラマイシン (抗リウマチ薬 兼 気管支炎予防薬)というところです。

本院では採血の結果が当日にはわからないので、これらのお薬の調節が必要な場合には、お電話で連絡をさせていただくシステムをとっています。

MTXは、抗がん剤と聞きましたが、
脱毛など心配しなければなりませんか?

MTX(メトトレキサート・リウマトレックス)はもともと抗がん剤(白血病や悪性リンパ腫・骨肉腫などにも使用される)でもあります。

したがって、ときどき毛が抜けやすいという副作用の訴えをききます。

とくに、女性などで髪を洗ったときに抜け毛が多くてびっくりしたなどの声があります。

対処としては、本院のように必ず最初から、葉酸を併用すること。

それでも防げないのであれば、今のところそれ以上の対処法はないのが現状です。

抗がん剤治療のように、髪がほとんどなくなってしまうことはありませんし、基本的にはくすりを止めれば元に戻るとされています。

といっても、もともと薄いかたは気になりますよね。

MTXはリウマチにもっともよく効く、安全な飲み薬です。

リウマチで過剰に働いている自己免疫を抑えることや、炎症を抑えることがリウマチに効く主な作用機序と考えられています。

しかし同時に、癌細胞などに効く作用というのは、わかりやすくいいますとDNA(遺伝子)を傷つけることによって、細胞の増殖を抑えるという作用なのです。
(医学用語では核酸合成阻害といいます。)

口内炎、のど、気管支、胃腸、腟などの粘膜や皮膚やつめなどのトラブルを起こしやすいのはこの作用からきています。

また、妊娠時に使用すると流産や奇形率が高くなるのもこのためなのです。

脱毛は個人差があります。

どうしても我慢できない・限度を超しているというかたは、量を減らす、または中止して注射薬(生物学的製剤=エタネルセプト・アダリムマブなど)に切り替えるという方法があります。

これらの新しい注射薬は脱毛や粘膜障害などの副作用はずっと少ない安全な薬です。

しかし、注射する手間と、治療費が高くなるというのが飲み薬に比べるとデメリットになりますね。

現在、世界的に、関節がひどくはれて変形するような、ほんもののリウマチの治療のベストと考えられているのは、飲み薬のMTXと注射薬(生物学的製剤)を両方同時に使うことなのです。

リウマチの治療の前に、
結核を調べるのはなぜですか?

結核は一度感染すると、肺の奥底などに結核菌が住み着いてしまい、たいていの場合、完全に消すことはできません。

そのうえ、知らない間に結核に感染して、知らない間に治っていることが多い。
(なんと80-90%は感染してもほとんど症状がない)

みなさん、まさか自分が結核に感染しているとは想像もしていないかたが非常に多いのです。

日本人の場合、感染している確率は、おおよそ20-30歳代で5%、40-50歳代で10%、60才以上だと40%-90%以上と考えていただきたい。

リウマチなどで、免疫力を弱めるお薬(とくに生物学的製剤)を投与する場合には、この体の奥底にすみついた結核菌がまた出てくることがまれにあるのでとくに注意が必要なのです。

リウマチ治療相談Q&A

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