生物学的製剤治療は
一生続けなければいけないのですか?
「一生ではありません。もちろん、数カ月から2-3年以上という単位の長期戦ですが・・・。
そのうち必ず病気の波が引きますから安心してください。そうしたら、徐々に薬の量・間隔を減らしていって、うまくいくと完全に止められるかたもかなりいらっしゃいます。」と、いつもの外来で患者さんへお伝えしています。
ただ、その期間は個々の患者さんによって千差万別です。
正確に期間を予測することはできません。
たしかに、素因(病気になりやすいDNA)は今のところ変えられません。
厳密な意味での完治ではないかもしれません。
病勢や波が引くまでの病気の期間は、ほとんど遺伝子によって複雑にプログラムされているからです。
ただ、間違いなく言えることは、初期のうちにしっかりした治療(すなわち、十分量のMTX+生物学的製剤)で、病気の勢いを徹底的に叩き潰しておけば、治療の期間も短くなりますし、トータルの薬の投与量(治療費)も少なくて済むということです。
世界的なリウマチ治療のトレンドと同様、私たちが生物学的製剤を開始するタイミングは以前と比較して、かなりはやくなっています。
早期からMTXと併用したほうが、治療期間や投与量も少なく済み寛解率、完治率(ドラッグフリー寛解率)があがることが明白になってきたからです。
本院では、エタネルセプトの場合、1アンプル(=25mg)週1回から開始します。効果が不十分であれば、週2回に増量します。日本人の場合、MTXを十分な量使っていれば8割の方は週1回25mgの投与で良くなることが私たちの経験でわかってきたことです。
病気の勢いが強い方の場合、50mgに増量します。
エタネルセプトは50mg以上の増量は認められていません。まだ症状が残る場合には、MTXの増量の余地があれば増量し、それでも足りなければステロイド(プレドニゾロン)で補うしかありません。
インフリキシマブの場合、体重あたり3mg/kg(=ほとんどの場合2バイアル)を8週おきに投与します。
効果が不十分な場合、間隔を縮めるか、3-4バイアルに増やす(最大10mg/kg)のが普通です。
ただ、この量だと医療費がかなり高額になるのが問題点です。
(高額医療費助成による返還は適応可能ですが。)
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