リウマチ患者さんは非定型抗酸菌症にかかりやすい?
ここ数年話題になっている感染症で定型抗酸菌症というものがあります。
リウマチの患者さんの場合、免疫抑制作用のあるお薬ばかりなので普通の健康な人がかからないような感染症にかかりやすくなります。
その中でも最近一度なってしまうとなかなか治りにくい感染症として、非定型抗酸菌症というものがあります。
非定型抗酸菌症とは
医学用語で難しい名前なのでなかなか分かりづらいと思いますが。
簡単に説明すると、普通の肺炎では急激に肺の中で細菌が増殖して熱を出すのに対し、いつのまにか細菌が肺の中に住み着いてしまう慢性肺炎といったところでしょうか。
この感染症の怖いところは二つのポイントがあります。
- 土壌や家庭排水、台所お風呂場など湿ったところにはどこにでもいる菌なので誰でもかかってしまう心配があること
- それから1回進行してしまうと有効な薬物はあまりない、もしくはほとんどないと言う現実です
非定型抗酸菌症の特徴
普通の肺炎が圧倒的に高齢者に多いのに対して、非定型抗酸菌症は40歳代から60歳代の壮年期の若い女性特にやせ型の女性に起こりやすいことです。
もうひとつの理解として昔から有名な結核菌の兄弟だということです。
知らない間に肺の中に住み着いてしまって一度住み着いてしまうと完全に消すことができないという意味で非常に性質が似ています。
結核に関しては、今はよく効くお薬や予防薬があるのでむしろ以前のように大問題になることは減りました。
それに代わって結核菌の兄弟である非定型抗酸菌症が最近のリウマチ治療における大問題としてクローズアップされてきているのです。
非定型抗酸菌症に対する予防
予防としては掃除の時など埃など口や鼻に入りやすい時はできるだけマスクをする、それから一般的な感染症の予防として疲れを溜めない、睡眠をしっかりとっていつも体力に余裕を残しておくそのぐらいしかありません。
当院でおこなっている検査では、リウマチ患者さんの場合年1回の胸部レントゲン、及び40歳代以降の女性患者さんや肺にリスクがありそうな患者さんには血液検査で調べられる Mac 抗体という検査をほぼルーチンで行なっています。
この検査で陽性だから必ずしも非定型抗酸菌症にかかってるとは言えませんが、もし検査陽性に出たら治療していく上で注意して見ていくことができます。