リンヴォックとは
リンヴォック（一般名ウパダシチニブ）は、リウマチを治す飲み薬で、ジャック阻害剤の一つに分類されます。
関節リウマチの関節内では、炎症性サイトカインという物質が増えています。この炎症性サイトカインが関節の腫れや痛みを引き起こして関節の変形を進めてしまいます。
今まで注射製剤で使用されてきたバイオ製剤（生物学的製剤エタネルセプトなど）は、この炎症性サイトカインに直接働きかけブロックするお薬でした。
更に新しく開発されたジャック阻害剤はそのサイトカインを放出する、さらに根元の部分に働くお薬です。
その根元というのは医学用語で細胞内シグナル伝達経路と呼ばれています。
リウマチの悪い物質を放出する水道栓のようなものと考えてください。ジャック阻害剤は1日に一回悪い物質が出過ぎないように水道栓を閉めるもしくは調節している感じで働きます。（聖路加国際病院膠原病科 岡田先生の説明による）
リンヴォックの特徴
- 皮下注射する手間がない
- 一日一回なので覚えやすい
- 上手くいけば薬１種類でリウマチの治療が可能
- 飲み薬の割には治療費が高い
などが挙げられます。
1錠7.5mgおよび15mg製剤がありますが、本院では7.5mg錠を使用しています。
通常一日一回一錠7.5mgもしくは2錠15mg内服してもらいます
関節リウマチのほかにアトピー性皮膚炎、乾癬性関節炎、潰瘍性大腸炎など多くの自己免疫疾患に効果があることが特徴です。
これだけ幅広い自己免疫疾患に効く薬は今までステロイドしかありませんでした。
ステロイドが多くの副作用をもたらすのに対してJAK阻害剤は圧倒的に副作用が少なく 、私たちも冗談半分ですが”副作用のないステロイド”と呼んでいます。
肝臓代謝のため、重度の肝機能障害の方には使用できません。
オルミエントを使用できない重症の腎障害の方に使用できます。
リンヴォックの副作用
薬自体の副作用は非常に少なく、まれに胃腸障害や倦怠感が出るかたがおられるくらいです。
やはり最も心配なことは他のリウマチの薬同様感染症です。具体的には肺炎と帯状疱疹です。
五十歳以上の方はできるだけ早く帯状疱疹ワクチン=シングリックス接種されることをお勧めします。
詳しくは、「関節リウマチ患者さんのためのワクチンプログラム」をご覧ください。