欧州リウマチ学会より
2009年6月10-13日、デンマークのコペンハーゲンで開かれた欧州リウマチ学会で、エタネルセプトとMTXの併用療法に関する報告がありました。
一つは海外のデータで、もう一つは日本のデータです。
少し長い記事なので先に結論からお話します。
本院で積極的におこなっている『エタネルセプト+MTXの併用療法』ですが、海外データ、日本でのデータのいずれにおいても、とても効果があると証明されたという内容です。
まず、海外のデータですが早期の関節リウマチ患者に対し、MTX単独治療とエタネルセプトとMTXの併用治療を比較したCOMET試験の2年目の報告です。
COMET試験というのは、早期リウマチ患者のリウマチの活動性、関節破壊の進行度について、MTX単独治療とエタネルセプト+MTXの併用療法を比較した研究です。
リウマチ患者411例を対象に、臨床的寛解(症状が落ち着いて安定している状態)とレントゲンによる関節破壊の進行抑制について比較しています。
結果ですが、1-2年後に臨床的寛解を達成したリウマチ患者は、MTX単独群では<35%>だったのに対し、エタネルセプト+MTX併用群では<50%>に達しました。併用した方が、より効果があったということです。
また、レントゲンで関節破壊が進行しなかったリウマチ患者の割合は、エタネルセプトの併用投与を継続した患者群で多いことが分かりました。
安全性について新たな問題は発生せず、重篤な副作用の発現についても患者群による差はみられなかったとのことでした。
以上は海外の話ですが、日本人におけるデータも発表されました。
JBASIC研究グループから(Japan Biological Agent Study Integrated Consortium)、MTX単独で効果が不十分な日本人リウマチ患者151例を対象に、エタネルセプト+MTX併用療法の有効性、安全性を検討した研究の、52週時点での成績が発表されました。
それによると、日本人でもエタネルセプト+MTX併用群で有意に関節破壊を抑制でき、症状と身体機能を改善することが明らかになりました。
EULAR基準改善度という指標を用いると、52週時点の「著効」の割合はエタネルセプト単独群が33.3%だったのに対し、エタネルセプト+MTX併用群では52.1%と併用群で著効する率が高いことがわかります。
さらに、トータルシャープスコアというレントゲンでの関節破壊の進行度を指標に用いると、エタネルセプト+MTXの併用により、52週時点での骨びらん進行と24〜52週での関節破壊進行が有意に抑えられていました。
身体機能評価についても、52週時点で併用群が単独群に比べて明らかな改善を示していました。
副作用の発現については、感染症に対する注意が必要ですが、併用群および単独群において、発生頻度に差は見られませんでした。
以上より、エタネルセプト+MTXの併用療法は、とても効果があることが改めてわかりました!