膝が腫れる、膝水の原因
膝は手や足の指などと比べ、関節の重要さが違います。腫れたまま放っておくと、短時間で変形が進んでしまいます。
膝が腫れている、膝に水が溜まっている状態は、関節内に炎症があるからです。
半月板の断裂や変形性膝関節症の要素が多いですが、なかに関節リウマチが潜んでいる場合があります。
通常のリウマチの印象が異なるため、診断が遅れがちです。
診断について
膝の水は抜いて良いのか
膝の水を抜いて良いのかと気になる患者さんは多いと思いますが、つっぱって曲げれないほどならば、一度抜いたほうが良いでしょう。
抜いた水の色の確認やその水を成分分析や細菌培養をすることで、貴重な診断情報を与えてくれます。
検査について
外傷性の要因がなく、膝に水が溜まるような症状が何度も繰り返す場合、どんな年齢でも必ずリウマトイド因子とCRPだけは調べるようにしています。
また、MRI検査などを併用して、どの程度リウマチが原因なのか、それとも骨壊死症、PVSなどの腫瘍性疾患、軟骨軟化症、半月板の加齢による亀裂が原因なのかを診断します。
治療について
水が溜まるのは炎症を伴っているので、ヒアルロン酸単独ではあまり効果が期待できません。ステロイド(代表的なものとして、ケナコルトA=トリアムシノロンアセトニド)の関節注射を行います。欧米ではスタンダードな治療法です。
ARTHRITIS & RHEUMATISM Vol.48,No.2,2003 Jean-Pierre Raynauld, Safety and Efficary of Long-Tern Intraarticular Steroid Injections in Osteoarthritis of the Knee A Randomized,Double-Blind,Placebo-Controlled Trialまた、リウマチの場合は炎症性滑膜炎なので、炎症止めの関節注射に加え、抗リウマチ薬や生物学的製剤などを総動員して、一日も早く炎症の火を消さないといけません。
関節注射で注意が必要な点
- ステロイド関節注射の頻度は、最低3ヵ月以上あけ、1年に2回までとしています。
- 関節注射でもっとも危険な合併症は感染です。イソジンは乾いてから滅菌効果を発揮するので、乾くまで待ってから注射します。
- 必ず滅菌グローブを着用します。
患者さんの注意が必要な点
- 注射した当日は、お風呂やシャワーを浴びても大丈夫ですが、患部を強くこすらないでください。
- 注射したところが赤くなる、痛みが強くなる、腫れる、熱が出るなどの症状があれば、すぐにご連絡ください。
- よく調べず、抗生剤の服用は避けてください。
漢方療法
血液検査でリウマチなどが否定された場合、防己黄耆湯などの漢方薬を使用します。漢方ですべての痛みが解決するわけではありませんが、第2の選択して処方しています。
効果が出るのには一般に、3-4週飲み続ける必要があります。
防已黄耆湯
利尿作用がある。むくみやすい中年以降の女性。
軟骨の変性はそれほどではないが、膝の水を繰り返す方に有効。
芍薬甘草湯
筋肉弛緩作用がある。
膝の痛みとともに、ふくらはぎの痛み・こりがある、足がつりやすい方に有効。
桂枝加朮附湯
強い痛みと炎症を伴う場合に有効。
主に慢性の関節リウマチのケースに用い、変形性関節症で使用することは稀です。
自費であれば、医師の処方箋なしに漢方薬局で購入することも可能ですが、長期間服用すると漢方といえども副作用を起こすことがありますので、十分に気をつけてください。
リウマチ以外の膝痛の原因
変形性膝関節症
変形性膝関節症とは、簡単にいえば、自動車のタイヤが減るように、長年の負担で膝関節の軟骨がすりへった状態をいいます。ですから、変形性膝関節症は純粋に病気とはいえず、年をとれば大なり小なり誰にでも起こってくる状態ともいえます。ただし、年をとれば全員に膝関節の痛みが出てくるわけではありません。
膝関節骨壊死症
最近の多くの研究の結果、膝関節骨壊死の本質は軟骨下骨挫傷による二次性におこる骨壊死であろうと考えられるようになりました。半月板の亀裂や「ずれ」のために膝の上の骨と下の骨がギシッとこすれあい骨の表面にひびがはいる、というのが大半の膝関節骨壊死の原因だと考えています。
そのほかリウマチ以外で、一度、膝の水を抜いて、ステロイド剤を注入してもまた再発を繰り返すならば、痛風、偽痛風などの疾患を考える必要があります。