リウマチの死亡率とエタネルセプトの死亡率の比較
以前、エタネルセプトについての新聞記事が出ました。1万4369人の患者さんのうち79人のかたが亡くなられたという記事です。
死亡率は0.5% 1万人あたり50人になります。
一般的なリウマチ患者さんの死亡率と比較してむしろ低いといえます。
- エタネルセプトの投与患者の死亡率 一般人の1.3倍
- リウマチ患者全体の死亡率 一般人の1.5-2.0倍
ということで、エタネルセプト投与によりリウマチ患者の死亡率がかなり下がることが、これまで海外では証明されていましたが、今回の調査で日本でもはっきり証明されたわけです。
むしろ、朗報といえるでしょう。
リウマチという病気は、単に関節が変形するというだけの単純な病気ではなく、全身の血管や組織に炎症を起こす重篤な全身病です。
癌のように治療しなければすぐに死亡するような病気とは違いますが、適切に治療できないと、徐々に全身を蝕み、衰弱させ通常よりかなり平均寿命が短いことがわかっていました。
その死亡原因の大多数は、肺炎などの感染症、と脳梗塞などの脳血管障害、心筋梗塞、骨粗鬆症による骨折および寝たきりなどです。
リウマチが身体に与える影響は
リウマチがあると、免疫力が落ちること、低栄養により感染症にかかりやすくなること。
血管にも炎症をおこし、動脈硬化も進みやすいことがベースにあります。
また、MTXや生物製剤がなかった時代には、ステロイド剤を長期にわたって投与するしか痛みを抑える方法がありませんでしたから、これらの合併症はさらに起こりやすくなっていたわけです。
海外の信頼のおける大規模な臨床研究により、すべてのリウマチ薬剤のなかで、MTXと生物学的製剤(エタネルセプト・インフリキシマブ)だけが、リウマチ患者の平均余命を伸ばし、生きている間のライフクオリティを大きく改善させることが証明されています。
MTX+生物学的製剤(+少量のステロイド)はいまや特殊な治療ではなく、リウマチ治療のベストスタンダードである。というのが全世界の専門医の共通した認識になっています。