抗CCP抗体は今までのリウマチ因子検査よりはるかに鋭敏であり、正確にリウマチの発症を予測できる最も重要な血液検査です。陽性の場合、80%以上の確率で数年以内にリウマチを発症します。
抗CCP抗体とは
抗CCP抗体は、関節リウマチの滑膜に存在するCCPという抗原を排除しようと形成される自己抗体です。血液検査で検出でき、リウマチを診断・治療するうえで重要な検査の一つです。
抗CCP抗体は今までのリウマチ因子(RF)検査よりはるかに鋭敏であり、正確にリウマチの発症を予測できる最も重要な血液検査です。
- 関節リウマチを発症した患者さんは、発症よりかなり前から抗CCP抗体陽性になることがわかっています。
- RF陽性かつ抗CCP抗体陽性のリウマチの場合、先手・先手の治療をして1日も早く関節の腫れを取らなければ、短期間のうちに変形が進んでしまうことが多くなります。
症状があり、抗CCP抗体が陽性である方は、変形の進行を防ぐために早期の治療が必要です。
抗CCP抗体陽性と治療の進め方
リウマチ早期診断・治療やMTX・生物学的製剤の投与タイミングなどを解説した動画です。
抗CCP抗体陽性・陰性の捉え方
抗CCP抗体陽性の場合を「正真正銘のリウマチ」、陰性の場合を「リウマチ体質」または「中途半端なリウマチ」と呼ぶことがあります。
「中途半端なリウマチ」は、痛みがあっても変形の進みが少ない傾向があります。
陽性の場合、80%以上が数年以内にリウマチを発症
抗CCP抗体が陽性だった場合、80%以上の確率で数年以内(数カ月〜5年程度)に関節リウマチを発症することが分かっています。ほとんど症状のない段階から陽性になるため、関節リウマチの発症予測に活用できます。
例えば、母親や兄弟に関節リウマチの患者さんが複数いらっしゃるなど、遺伝を心配される場合は、一度抗CCP抗体の検査を受けることをお勧めします。
RF陽性かつ抗CCP抗体陽性のリウマチの場合、先手・先手の治療をして1日も早く関節の腫れを取らなければ、短期間のうちに変形が進んでしまうことが多くなります。
現在のリウマチ治療は根本的な原因、つまりリウマチになりやすい体質や遺伝子を変えることはできません。治療がうまくいって痛みがなくなっても、抗CCP抗体陽性の方は10〜20年以上陽性が続くことが普通です。
そのため、寛解状態に持ち込んでも薬を少しずつ減らしていくと症状が再燃することが多く、抗CCP抗体陽性の本物のリウマチの方は通院・投薬期間が10〜20年以上に及ぶことを覚悟していただく必要があります。
治療開始の目安
抗CCP抗体陽性の方が関節リウマチを発症した場合、早期に十分な治療をしないと、1〜3年以内に関節の変形が重度に進行しやすいこともわかっています。[#1] [#2]
関節リウマチによる関節破壊(骨破壊)は、初期2年間で急激に進行することがわかってきました。ですから、抗CCP抗体が高い方は積極的に先手・先手を打って治療していくことが重要です。
関節リウマチによる関節破壊(骨破壊)は初期2年間で急激に進行する
無症状の場合
抗CCP抗体が陽性でも、全く無症状の患者さんへの薬物治療は行いません。
世界的に使われているリウマチの分類基準(ACR/EULAR 2010基準)があり、ほとんどの専門医がこれを目安に治療を開始しています。非常によく考えられた基準なので、この基準を満たしてすぐに治療を開始すれば遅すぎるということはありません。
ただし、CRPなどが正常でも頸椎の滑膜炎病変や超音波・MRI検査などでしか見つけられない初期の炎症所見が見つかることもあります。本当にリウマチが始まっていないのか十分に精査して評価することが、適切な治療開始のタイミングを逃さないために重要です。
また、せっかく治療を開始しても効果不十分な薬のまま炎症が続くと関節の破壊が進んでしまうケースが多く見られます。一度、リウマチ専門医にご相談ください。
初期症状チェックへ →抗CCP抗体の数値について
数値と重症度の関係
抗CCP抗体の数値は、リウマチの重症度と必ずしも正比例するわけではありません。本院の患者さんの中には抗CCP抗体1,000以上の方もおり、最高5,000台の方もいます。
抗CCP抗体が例えば500の人が、50の人の10倍悪いわけではありません。ただし、数値の高さとリウマチの病気の勢い(活動性)はおおまかに比例すると言えます。
抗CCP抗体4.5〜50前後で陽性の方と100以上の方を平均をとって比べると、100以上の高いグループの方がリウマチの勢いが強いことは間違いのないところです。また、数値が高い方は治療期間も5〜10年以上の長期戦になる傾向があります。
抗CCP抗体トピック
正式名:抗環状シトルリン化ペプチド抗体
略名:抗CCP抗体
英名:Anti-cyclic citrullinated peptide antibody(ACPA)
正常値:4.5未満(U/mL)※日本のほとんどの検査機関で共通(海外では基準値が異なる場合があります)
日本人の抗CCP抗体陽性率
日本人の健常者の抗CCP抗体陽性率は約1.3%(人間ドックのデータより推定・聖路加国際病院の調査など)です。一方、リウマチ因子(RF)の陽性率は約10%とかなり高い値です。
男女比(女性:男性 ≒ 4:1)で考えると、男性で200人に1人(0.5%)、女性で50人に1人(2%)程度と推計されます。「100人に1人」と覚えておくと分かりやすいでしょう。
参照文献
エビデンス文献
- Berglin E, Johansson T, Sundin U, et al. Radiological outcome in rheumatoid arthritis is predicted by presence of antibodies against cyclic citrullinated peptide before and at disease onset, and by IgA-RF at disease onset. Ann Rheum Dis. 2006;65(4):453–458.
https://ard.bmj.com/content/65/4/453.short - Syversen SW, Gaarder PI, Goll GL, et al. High anti-CCP levels and an algorithm of four variables predict radiographic progression in patients with rheumatoid arthritis: results from a 10-year longitudinal study. Ann Rheum Dis. 2008;67(2):212–217.
https://ard.bmj.com/content/67/2/212.abstract
参考文献
- De Rycke L, Verhelst X, Kruithof E, et al. Rheumatoid factor, but not anti-cyclic citrullinated peptide antibodies, is modulated by infliximab treatment in rheumatoid arthritis. Ann Rheum Dis. 2005;64(2):299–302.
https://ard.bmj.com/content/64/2/299.abstract - van Dongen H, et al. Efficacy of methotrexate treatment in patients with probable rheumatoid arthritis. Arthritis Rheum. 2007;56(5):1424–1432.
https://onlinelibrary.wiley.com/doi/pdf/10.1002/art.22525
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